祖母は、生まれ故郷の町役場で公務員として定年退職するまで勤め上げた、当時としては珍しい職業婦人である。
そのため自分で自由に使えるお金には不自由しなかったらしく、着物道楽だった。
その祖母が亡くなって、遺品である着物をどうするかということになった。
祖母の子供は、私の母である娘一人に叔父である息子一人、叔母は着物には全く興味のない人。
遺品の着物のほとんどは私の母の手に渡った。
何分祖母の家系は典型的な女系家族である。
自分の子供は少なかったが姪はいっぱいいた。
その姪たちが着物がほしいと言い出したらしい。
とはいえ、祖母と孫の私たちや、ひ孫である娘たちでは身長差があり、そのままでは着用できないものが多かった。
それに、いくら高価な着物でも柄には流行り廃りがつきもので、最近では洋服に仕立て直してというのも珍しくなくなったようだが、そればかりあっても・・・というものだろう。
そこで、東京の着物買取りをしている古物商に半分以上を引き取ってもらった。
なかなか良いものが揃っていたらしく、まとまったお金になったので驚いた。