2014年12月19日金曜日

留学の思い出とブラインド

毎朝起きての最初の仕事、それは、「ブラインド」を開けること。

今日の空はどんな表情をしているのだろう。
そんなことを想像しながら、寝室のウッドブラインドに手を伸ばす。

このブラインド。

もちろん、それぞれの家庭の大切な顔ではあるのだけれど、実はそれ以上の意味を持っていた時がある。

90年代に留学中のこと。
とにかくアメリカへと行きたくて行きたくて、必死でお金を貯め、海を渡った。

そして、迎えた留学生活。

もちろん、日本人としてアメリカ人と机を並べることは大変だった。
けれども、長年の夢が叶ったという喜びからそんなことは苦労のうちには入らない。
そして何よりも、毎朝ブラインドを開けるのが楽しみだった。

アパートの下を見ると、足早に行き交うビジネスマン、冬だというのに半袖を来ているアメリカ人学生。

アメリカの縮図が窓の外には溢れていた。
でも、こんな日本では見られない光景にただただ嬉しさがこみ上げるばかり。

あれから約20年の月日が経った今。
毎朝ブラインドを開けると見えるのは、ビジネスマンでもなく、半袖のアメリカ人学生でもなく、ホームレスでもない。

娘に太ってキモいと言われてダイエットをしている中年のサラリーマンだ。