2015年3月24日火曜日

懐かしい夜空と星

小さい頃から、星空に興味があった。

田舎町出身の私にとって、夜空は瞬く星たちでいっぱいの宝石箱のようだった。

夜空を見るだけでは物足りなくなった私は、星や宇宙に関する本を読み始めるようになった。星座の物語や、宇宙の図鑑。不思議だらけの夜空の世界に、幼いながら釘づけになってしまった。小学生中学年ぐらいになると、「ブラックホールって中はどうなっているんだろう?」など、様々な疑問を持つようになっていった。

そんなある日、車で2時間ほどのところに住んでいる叔父が、天体望遠鏡を買った。

ヨットを買ってみたり、ゲームに夢中になったり、多趣味の叔父が今度は天体観測に興味を示したのだ。

私はその話を聞いて、夏休みを利用して叔父の所に遊びに行った。

目的はもちろん新しい「天体望遠鏡」。

叔父の持っていた天体望遠鏡は小学生の私にとって、想像していたより大きいものだった。まだ昼間だったので、天体望遠鏡は家の中に保管されていて、日常生活に使う物たちに交じって、居心地悪そうに鎮座していた。

待ちに待ったその日の晩、叔父さんは家の前に観測スペースを作り始めた。

ただ天体望遠鏡を置くだけでいいのに、イスを用意したり、テーブルを出して、その上に飲み物を並べたりしていた。

なんだか夜のピクニックみたいで、心がワクワクしていたのを今でも覚えている。

実は最近、叔父から望遠鏡のコレクションを処分の為に天体望遠鏡買取のお店の手続きを代行したのだが、その時、あの懐かしい望遠鏡を私にと譲ってくれたのだ。

いよいよ天体観測の時間だ。
その日は、月などの主たる惑星を観察した。惑星の表面をこの目で見ることができる。

不思議な、神秘的な気持ちになった。
大人になった今でも、叔父さんの家に行けば、あの時の天体望遠鏡に会うことができる。
ほこりをかぶった天体望遠鏡の向こうには、あの時の夜空が待っている。